増尾好秋ギターインタビュー2000 by Sunshine Road (3)

 

■奏法

増尾: この数年、僕は右手の奏法を随分変えたんだけど。以前はすごく大きいボリュームで弾いていて、結構むちゃくちゃになってた部分が随分あったのに気付いてね。一番初期の頃は指で弾いてたから、その時点に戻って、今度はピックを使って、その当時の感覚をいかせる一番いいとこを探しながら練習してたんだ。それで、「あ、ここだな」って分かったのが、1年ぐらい前かな、1〜2年くらい前かな。今だに一生懸命練習してるの、ちゃんと。でも、練習してるのがまだ身に付いていない。(苦笑)

━━ いえいえ、何をおっしゃいますか。

増尾: ホント。ときどきフォームがくずれるからさ。ギターはどうやって軽く弾けるかのほうが難しいんだよね。その軽く弾いた感じで、どれだけのスピードが出せるかってのが結構難しいから、それが出来るようになれば音の表情とかがもっと自由につけられるんだよね。軽く弾くコントロールが出来れば、強く弾くのは結構楽なんだよね。僕の練習の課題はそのへんのとこだね。

━━ どれくらい練習されるんですか?

増尾: 決まっていないけど。出来たら、そういうのばっかりの練習していたいけどね、今は。でもやっぱり他にもやらなきゃいけないことがあるから、出来なくなっちゃうことが多いけど。こうやって日本に来ると殆ど毎日のように色々出来るから、すごくいいよね。演ってればだんだん調子良くなるし、ミュージシャンは普通、そうでなくちゃいけないんだけど。今の僕はニューヨークでバンドも持ってないし。仕事があるって言ってもね、誰かに呼ばれて月に2〜3回じゃさ、あんまり調子も出ないしね。勿論スタジオでセッションもやったりしてるけどね、今一つで、これからって感じだね。僕自身は練習の課題があるから丁度良いって感じがするけどね、こうやってたまに来て演るのも。

 

■弦

━━ 弦は何を使われてます?

増尾: 弦はね、ダダリオ(D'Addario).011〜.049のセット。

━━ え?フルアコなのにかなり細めじゃないですか?

増尾: うん。それも含めて軽く弾くっていうのはそこなんだよね。ホントだったらこういうギター(ES-175 [1]) はさ、フラット・ワウンド(Flat Wound)のストリングが合うんだけどね。でも僕は今の自分の音楽性とか考えたりすると、フラット・ワウンドは違うのかなって。ソリッドギターのように伸びる音も好きだしね。そうするとフラット・ワウンドじゃ音が伸びないからさ。1個の音がポツンていう感じでしょ。コードを弾くのにはすごくいいんだけどね。だからどっちを取るかで正直な話ちょっと迷うこともあるんだけど、とりあえず今はブリッジもその弦に合わせて作ってあるし、まあ今はこれでいいかな?と思ってやってるんだけど。そのうちフラット・ワウンドのになるかも分かんない。

━━ 弦高はどうされてるんですか?

Masuo: あんまり高くもないけど、普通よりちょっと高めにセットするのが好きなんだよね。

 

■ピック
pick.jpg (5071 バイト)
○印のところ
で弾いている
(あくまで インタ
ビュー当時の話)

━━ ピックはどんなタイプをお使いですか?

増尾: うん、フェンダーの一番固いやつ。エキストラ・ヘビー(Extra Heavy)。それで 柔らかい音を出すために尖ったところでは弾いてないの。

━━ じゃ、パット・メセニーみたいに丸まった肩の所で弾く感じですか?

増尾: あ、パット・メセニーもそうなの? こういう感じで、このへんで弾いてる(図参照)。 基本的には僕は手で弾くのが好きだから。角が立たないところでさあ。(笑) (※追記:その後、もっと軽く弾けるようになって、2004年からはピックの肩ではなく先で弾くようになったとのこと。2004年夏の日本ツアーでは、ピックの尖った先で弾いて ものすごく柔らかい音まで出していて、音色の表情が素晴らしかった。ただし、2006年春以降の日本ツアーではピックを全然使わず指弾きのみ。)
『Are You Happy Now』のレコーディングでもレスポール[3] に張ってたトップのE弦は.010ぐらいだったかも分かんない。確か.010〜.046ぐらいのセットだったと思うよ。それでもやっぱり軽く弾けば結構フルな音がするんだよね。特に細い弦の場合は、強く弾いちゃうとペンペンになっちゃうのね。でも、程よく弾けば結構太い音が出るんだよね。

 

■アンプ

増尾: それで、さっきも言ってたように、その〜アンプね。
僕はこの2年間、日本に来てるけど(なかなか日本で演奏しなかった時期に比べ、このところ年に一度日本ツアーに来ている)、自分のアンプっていうのを持っていないの。

━━ じゃあ、いつも借りられてるんですか?

増尾: そう、友達に親切な奴がいて貸してくれたから、それを借りてたんだけど、それも別に気に入ってるわけじゃなかった。だからもう、店にアンプがあるんならどんなのでもいいから使おうと今回は思って、今日はFenderのアンプが店にあって使ったんだけど。僕は基本的にトランジスタのやつはあんまり好きじゃないのね。どちらかというと普通のフェンダーの真空管みたいのが一番好き。今日のアンプは別に好きなのじゃないけど、トランジスタのやつよりは好きだね。

━━ 所々、グラント・グリーンを思わせるような音色でしたけど。

増尾: そう?(笑) 大体、半分ぐらい割れてたでしょう?

━━ まあ、それも良さの一部だとは思いますが。(笑)

増尾: でも、やっぱり自分にピッタシ合った音っていうのはあるんだよね。それは最近よく分かったからね。実は、Altecの417 っていうスピーカーがあるんだけど、それが今、良いと思って探してるんだ。

━━ それはもう、生産されてないんですか?

増尾: もう作ってない...だから、古い奴を探すしかないんだよね。インターネットのオークションで eBay (イー・ベイ) っていうのがあるんだけど。そんなのでしょっちゅう見てるよ。それで1個見つけたんだけど、それはオーム(インピーダンス)が違ってたの。あれね、8オームでなくちゃいけないんだよね。8オームで2つなの。僕はね、昔のツイン・リヴァーブを持ってて、Altec 417をそれに入れたいわけ。だから、見つけて買った16オームのタイプのものは誰かに売らなくちゃいけない。それで僕は、色んなアンプとか持ってたんだけど、全部洪水で濡れて駄目になっちゃったのね、ブギーみたいに助かったアンプもあるんだけど。それで、その濡れたアンプの中に入ってたのが417なんだよね。濡れたアンプからガビガビになってるスピーカーだけ出して皮(コーン紙)を張り替えようと思ってるの。なかなか見つからないんだもんだからさ。それをアメリカに帰ったらやろうかなと思ってる(後日聞いたところでは、帰国後その Altec 417 が使えたとのこと)。 あの Fender(店にあるアンプを指さして)はスピーカーに何が入ってるか分かんないけど、最近のアンプの音は、ソリッド系のギターを使うような音楽に合わせて出来てるでしょ。そうするとサウンドが bright なのね、ものすごく。それはそれでいいんだけど、そういうスピーカーの音は、やっぱりこういうギター[1]には全然合わないんだよね。だから、トレブルを下げて、ミドルとベースでやるみたいにするんだけど、ちょっと不自然な感じにもなるから、何とかそのスピーカー見つけたいと思ってる。
それと、日本でも1台、自分のアンプを買わなくちゃいけないと思ってるんだ。でもそうとなると、自分でアンプも運ばなくちゃいけないから、小さい車でも買わなくちゃいけなくなるのかなって話になっちゃうんだよね。結局ローディもいなきゃ、自分でやるしかないわけじゃない。そうすると、つまるところはもう、そういう(日本でクルマも買う)ことなのかなって最近現状が見えてきたっていうかね。

━━ そうですよね。アンプだったら自分でゴロゴロっていうわけにもいきませんしね。

増尾: 電車でってわけにもいかないでしょう、いくらなんでも。階段もあるし。(笑) そんなのやってたら死ぬよ〜! 仕事場に着いたら手がガクガクになっちゃって。(笑) (※アンプの重量は30kgとか35kg)

━━ 弾ける状態じゃないですよね。(笑)

増尾: 手が震えちゃって。(笑)

 (追記:その後、2001年2月以降の日本ツアーでは、ご友人である大橋氏ご所有の MESA/Boogie '76年製 を使用。ただし、MESA/Boogie を使用するのは都内とその近郊でのみ。)

 

■エフェクター

━━ コンプレッサーなんかを結構使われてた時期があったようですが?

増尾: コンプレッサはあんまり好きじゃないから、ほとんど使っていない。

━━ でも、『Good Morning』では、ストラトに必ずかかっていたようでしたが...

増尾: ああ、あの時には確かにMXRのダイナコンプを使ってたね。他にも、ヤマハのも持っていたけどね。

━━ 他にも『Good Morning』では、ボスのコーラス・アンサンブルギズモトロン10CCのゴドレイ&クレームが作ったがマンチェスター工科大学の協力を得て開発したエフェクター)も使ってらっしゃいましたよね?

増尾: 両方とも弟(増尾元章(g) )が持ってきたものでね。ギズモトロンは「Dealing With Life」で使った。でもすぐに壊れちゃった。


■メンテナンス

━━ ギターのメンテはどうされてるんですか?

増尾: メンテナンスはだいたい自分でやってる。でも、スティーブ・バージャー(Steve Berger 「バーガー」ともいえるとのこと) っていう知り合いに頼むこともあるけどね。彼もギタリストで、いろんなミュージシャンのギターのメンテもしているんだ。

━━ お店とかを持たれてるんですか?

増尾: いや、店はないけど、ミュージシャン仲間ではよく知られているから、彼の家がお店みたいなものかな。


■その他

━━ これまで話に出てきたギターのほかに、お持ちのギターはありますか?

増尾: クラシック・ギターは2本持っていて、1本は、学生の時に西武新宿駅そばのクロサワ楽器で買ったものなんだけど、これのシリアルナンバーが0001番になっ ているんだよね。クロサワ系列の楽器店で Dr. Sound っていう店がニューヨークにあって、そこでこれを見てもらったら、「もしかしたらクロサワ・ツネサブローさんが最初に作ったギターかもしれない」って言われたんだ。

━━ ヤマハ・スーパー1200 もお持ちですよね?

増尾: あれも水に浸かった。

━━ 増尾さんは、スチール・ギターを使われた記憶がないんですが、お持ちですか?

Masuo: タカミネ を持ってたんだけど、これも水の事故でだめになった。

━━ たまにはスチール・ギターを弾きたいと思われないんですか?

増尾: 必要になれば買います。(笑)

━━ 作曲するときに使うギターは決まっていますか?

増尾: 作曲するときは、特にどのギターを使うとかいうことはないけど、ES-175[1]レスポール[3]と、クラシック・ギター[11]。だいたいこの3つだね。あとは、キーボード。

━━ 今、欲しい、もしくは弾いてみたい ギターはありますか?

増尾: 特にないな。

━━ 非現実的な質問で申し訳ないんですが。亡くなった人を含めて、どなたかと共演してみたいという人をお聞きしたいんですが?

増尾: う〜ん (としばらく考えて)、特に思いつかないなぁ。

━━ たとえばウェス・モンゴメリーとかはどうですか?

増尾: 彼が生きてたら、演奏するより、聴きたいよぉ〜。(笑)


増尾さん、お疲れのところを、どうもありがとうございました。

インタビュー2000 -- End --  ( → 目次へ戻る

[ < インタビュー目次]  ▲ Scroll to Top

Home | Guitarインタビュートップ (←Web検索でいらした方はトップから) 増尾好秋Webサイト