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管理人が行ったライブの写真、または 他サイト(主に公式 増尾好秋Facebookページ)に掲載のレポート写真へのリンクを、上から日付け順に並べてアップしています。
※過去のスケジュール ( 2023-24年 / 未 2025-26年 ) ※今後の日程→Scheduleページ
Kazumi's Rainbow 渡辺香津美君を励ます会 チケット売り切れ
6月13日(Fri) Open19:00 / Start19:30
MEMBERS
【YOSHIAKI MASUO GROUP】増尾好秋(G) 永武幹子(P) 中林薫平(B) 北井誉人(Ds)
ゲスト:中牟礼貞則(G) 山下洋輔(P) 本多俊之(As) 井野信義(B) 山木秀夫(Ds) Gregg Lee(B) 三好"3吉”功郎 (G)
天野清継(G) 沖 仁(フラメンコG) 則竹裕之(Ds) 吉野弘志(B) 村田陽一(Tb)
渡辺香津美君が突然倒れたニュースが報じられてもうしばらくになります。何か手を差し伸べようとゆかりのミュージシャン達を集め渡辺香津美君を励ます会 Live を開催し皆んなの気持ちを少しでも彼に届かせようという企画です。- 増尾好秋
渡辺香津美さんは、2024年の2月27日に突然の右半身のしびれを訴えて倒れたそうです。普通なら即死の状態で、意識不明が2カ月続いたあと、奇跡的に意識を取り戻しました。とはいえ、まだ大変な闘病生活が続いていることが知られています。香津美さんのことを気に掛けながらも、何もしてあげることができないというもどかしい気持ちを、(増尾さんだけでなく)皆さんが持っている。それで香津美君のために何かやりたいと思っていたとのこと。
増尾さんは、まずはPIT INN に、同様のイベントがすでにあるかどうか問い合わせて、ないことを確認。それから香津美さんの奥様に、このような趣旨でライブをやることの了承を得ようと連絡しました。しばらくして返信があり、とても喜んでくれて、是非やってくださいとのこと。そのメールはすごく心を打たれる内容でした -- 香津美さんはすごく喜んでくれて涙を流していた。その涙のなかには、もちろん嬉しさもあるけど、PIT INN で自分は演奏できないという悔しさとか、いろんなものが混じっていると思う -- と。そういったことが書いてあって、増尾さんは胸が詰まって、しばらく話せない状態になってしまいました。そのとき増尾さんはハワイにいて、止めている車の中で、奥様シャーリーさんがすぐそこの店でドーナツを買って車に戻るのを待っているところでした。戻ってきた奥様が「何があったの?」と聞くも、増尾さんはすぐには話せず、とりあえず「ちょっと待って」と言うのが精一杯でした。それから気を取り直して車を運転して帰路に着いたところ、目の前に虹がかかっているのを目撃した、というのです ・・・ その虹が、このライブのタイトル Kazumi's Rainbow に繋がったのですね。(おそらくは、希望をこめて)
このライブの企画主でありホスト役となる増尾さんは、渡辺香津美さんと関わりの深いミュージシャンに集まってもらいたけれど香津美さんがどういうミュージシャンと交流が深いのか知らなかったため、香津美さんの奥様でピアニストである谷川公子(たにかわ こうこ) さんに尋ねて、またPIT INN さんにも尋ねてミュージシャン リストをもらい、そのリストの全員にメールを送りました。企画に賛同してくれてスケジュール的にも出演可能なミュージシャンらが、この日参加してくれることになりました。香津美さんのために参加したいけれどもその日はすでにスケジュールが…というミュージシャンも何人もいたそうです。
さらに、多数のミュージシャンがどいういう組み合わせでユニットを組んで演奏するか、どの曲をやるかなど、事前に連絡して相談、調整することはいろいろあり、また多数のミュージシャンが出ても全体の時間が長くなりすぎないように配慮して進行計画を立てるなど、多くの準備がなされたようです。増尾さんは、このライブのために香津美さんの曲を練習したり、Kazumi's Rainbow という新曲まで書き下ろしたりと、本当に大きなプロジェクトでしたね。
一方、増尾さんが当日話されたところによると、個人的に、このイベントのおかげで、いままで会ったこともない、やったこともないミュージシャンと、たくさん今日はやることができるという、特別な場をつくってくれて、「香津美、ありがとう ございます」という気持ちだとのこと。
また、増尾さんのアイディアで、PIT INN のすぐ外のビル内通路には「渡辺香津美さんにメッセージをお願いします」という貼り紙とすぐそばに白紙ノート(スケッチ用ブック)2冊とマーカーペン数本が用意され、来場の皆さんが書き込んでいました。(→永武幹子さんFacebook投稿にメッセージノートの写真、別タブで開く)
■ Yoshiaki Masuo Group: 増尾好秋(g), 永武幹子(p), 中林薫平(b), 北井誉人(ds)
■ Duo 1:増尾好秋 (G)、沖 仁 (フラメンコ ギター)
■ Group 1:天野清嗣 (G), 本多俊之(As), 村田陽一(Tb), Gregg Lee (El-b), 吉野弘志(B), 則竹裕之(Ds)
■ Group 2: 三好"3吉"功郎 (G), 本多俊之 (As), 村田陽一(Tb), 井野信義 (B), 山木秀夫 (Ds)
■ Duo 2:増尾好秋 (G)、中牟礼貞則 (G)
■ Duo 3:増尾好秋 (G)、山下洋輔 (P)
■ Yoshiaki Masuo Group + ゲスト 山下洋輔:
増尾好秋 (G), 中林薫平 (B), 北井誉人 (Ds), 山下洋輔
■ Yoshiaki Masuo Group + 多数 〔ラストの1曲 Kazumi's Rainbow by Yoshiaki Masuo 〕
増尾好秋 (G), 永武幹子 (P), 中林薫平 (B), 北井誉人 (Ds),
本多俊之(As), 村田陽一(Tb), 天野清嗣(G), 三好"3吉"功郎 (G), Gregg Lee (El-b)
■〔アンコール〕(直前のメンバーからピアノが 永武→山下 に、ドラムが 北井→則竹 に)
増尾好秋 (G), 山下洋輔 (P), 中林薫平 (B), 則竹裕之(Ds),
本多俊之(As), 村田陽一(Tb), 天野清嗣(G), 三好"3吉"功郎 (G), Gregg Lee (El-b)
■ Yoshiaki Masuo Group: 永武幹子(p), 中林薫平(b), 増尾好秋(g), 北井誉人(ds)
増尾さんは、今日演奏するのにどういう曲が相応しいかなぁと思って...と、Still Believing in Dreams の ボーカルバージョンを最初に。そして2曲目は Part of the Deal。
この Y.M. Group に限らず他のグループもですが、普通は各グループ2曲ずつだけだったら、場合によってはエンジン本始動する前に出番が終わってしまうことがあってもおかしくないところを、そんなことはまったくなく、最初から熱量の高い演奏でした。
■ Duo 1:沖 仁 (フラメンコ ギター), 増尾好秋 (G)
初めて会う二人。筆者が事前に沖 仁さんについて調べたらスペインで開催のフラメンコギター国際コンクールで日本人初の快挙となる優勝を果たされた経歴の持ち主なんですね。フラメンコギターとデュオをするにあたって選ばれた曲は、映画「ディアハンター」の主題曲 Cavcatina と 黒いオルフェ でした。このデュオでは、増尾さんのギターにもスパニッシュなテイストが加味されて普段聴けない感じの繊細な表現でした。沖さんのことを「いやほんと、こういうギターの音、痺れますねぇ」と増尾さん。そして「(沖さんが)香津美君とやったのも聴きたかったなぁ…」とも。
次は、香津美さんとゆかりの深いミュージシャンらが Goroup 1 と Group 2 の2つに分かれて順に2曲ずつ。ここでは増尾さん、演奏はお休みです。増尾さんがこれまで仕事で顔を合わせたことがほとんどなかったミュージシャンらによる演奏。ホスト役の増尾さんは、興味深く聴いていらっしゃるようで、これから Group 2 の演奏というときにメンバー紹介をしてから「どんな音楽をやるんでしょう。すごい楽しみなんです」なんて、聴衆の一人のようなことを言っていました(笑)
■ Group 1:天野清嗣 (G), 吉野弘志(B), 本多俊之(As), Gregg Lee (El-b), 村田陽一(Tb), 則竹裕之(Ds)
Group 1 の一人(天野さんだったか?)が 「この素晴らしいメンバーで、香津美さんの代表曲ですかね?これは。あえてタイトルを言わないで、演奏したいと思います」と。
始まった曲は ユニコーン! そして次が 遠州つばめ返し!でした。
■ Group 2:本多俊之 (As), 井野信義 (B), 村田陽一(Tb), 山木秀夫 (Ds), 三好"3吉"功郎 (G)
聞くところによると、Group 2 のほうでも演奏曲として香津美さんの 遠州つばめ返し を考えたのだとか。でも Group 1 に先を越されて再考することに。1曲目はステラ・バイ・スターライトを高速テンポでフリーっぽく(これが良かった、というか凄かった)。そして 2曲目は Blues Connotation。
■ Duo 2:中牟礼貞則(G)、増尾好秋 (G)
香津美さんの師匠だった中牟礼さん。この日のなかで最高齢。よくぞここまで移動して来てくださいました。
曲は、
Beautiful Llove と、Two Degrees east , Three Degrees West 。
■ Duo 3:山下洋輔 (P)、増尾好秋 (G)
(すぐ上の写真は、ピアニスト永武幹子さんの Facebook 投稿 より、
山下洋輔さん×増尾さん
デュオで遠州つばめ返し! から使用させていただきました)
山下さんはこの機会に増尾さんとやりたい曲のリストと譜面と音源を事前に送ってくだっさったそうで、そのなかに、遠州つばめ返しがあったとのこと。Group 1 でもやったけれど、被っても別段気にしないことにしたのでしょう。聴くほうとしては私はもちろん被っても構わないし、なんなら Group 2 でもやって全部で3回だったとしてもこの特別の日に私は気にならないけれど。そしてこの曲を増尾さんは事前にしばらくの期間練習されていたそうです。それを山下さんとやるとなると「どうなるんでしょう?」とご本人(一堂笑い)。山下さんのおかげで増尾さんにしては珍しくすごくアヴァンギャルドな滅多に聴けない類いのプレイを聴かせてもらって興奮しました。
■ 山下洋輔 (P)、中林薫平(b), 増尾好秋 (G), 増尾好秋(g), 北井誉人(ds)
山下さん増尾さんのデュオに、中林さん、北井さんが加わって、バド・パウエルの「クレオパトラの夢」。
山下さんは普段はフリーの演奏がメインなのだけれども、彼の土台になっているところにバド・パウエルとかがあって「今日はそういうのを聴けるのって、皆さん、得してると思うんです」と増尾さん。
この1曲では北井さんが大御所の山下さん相手に堂々としたドラミングでした(と私が感じた)。
■〔ラストの曲 Kazumi's Rainbow by Yoshiaki Masuo 〕
永武幹子 (P), 天野清嗣(G), 中林薫平 (B), 本多俊之(As), Gregg Lee (El-b), 増尾好秋 (G), 村田陽一(Tb),
北井誉人 (Ds), 三好"3吉"功郎 (G)
Yoshiaki Masuo Gropup の4人に、この日のミュージシャンが多数加わって、増尾さんの出来たてほやほやの曲 Kazumi's Rainbow を演奏。曲の出だしは虹のイメージのような優しく美しい音色でゆったりと奏でられ、ブレイクから強めのビートとホーンが加わり溌剌とエネルギッシュに。そこからソロ回しを20分近くやって、すごく盛り上がりました。
■〔アンコール〕
山下洋輔 (P)、天野清嗣 (G), 本多俊之(As), Gregg Lee (El-b), 増尾好秋 (G), 村田陽一(Tb), 則竹裕之(Ds)
アンコールは、香津美さんが自身のバンドでよく演奏しているマイルストーンズ。ピアノは永武さんから山下さんに変わり、ドラムは北井さんから則竹さん交替。あとで写真を見てわかったけれど、永武さんは山下さんのすぐ後ろでピアノを見ていたし、北井さんは上の写真のごとく則竹さんのすぐそばにしゃがんで見ていました。
イベントの最初から最後まで、ミュージシャンの皆さんの気持の入った演奏が素晴らしく、香津美さんに届けようという思いで会場が一体となっていました。興奮冷めやらず。スペシャルな時間と空間でした。
休憩時間は特に設けられておらず、ミュージシャン交替のための楽器のセットアップ時間をトイレ休憩にするような形で、最長でも10分休憩が1回。ほぼ3時間ぶっ通しのステージ。これだけの内容をほぼ予定どおりの時間に終われるなんて、進行がとてもうまくいったと思います。立ち見の人たちは入場時から3時間半立ちっぱなしでしたが、それでも、これに参加できてよかったという充実感で満たされた人が多かったのではないでしょうか。
ミュージシャンの皆さんにとっても、香津美さんに何かしたい、という気持ちを表わす機会になってよかったです。終演後に何人かのミュージシャンと話してみた某リスナーさんによると、皆さんそれぞれ充実の想いがあったようです。
渡辺香津美さんにみんなの思いが届きますように。そして少しでも快復への助けになってくれたらと願っています。心よりご快復をお祈りしています。
増尾さんご自身が所蔵の、1980年前後に撮られたと思われる写真です。
下の画像をクリックすると、元記事である増尾好秋公式Facebookページに飛びます(別窓で表示)。
次は 2012年6月12日、新宿PIT INN 増尾好秋 3 Days の2日目
増尾好秋 ギターデュオ with 渡辺香津美 (g) / Char (g) / 中牟礼貞則 (g) の日の写真です。
※増尾好秋氏は、基本的には春と秋に3カ月ずつ日本に滞在して演奏活動しています(ときには何らかの事情でそのパターン通りでないこともあります)。今後の予定は
Schedule&Newsページ でご確認ください。